リビングのエアコンの位置によって年間電気代がどの程度変わるのか
リビングのエアコンの位置について悩む方は多いのではないでしょうか?
単純に部屋が広いということに加えて、窓や見た目、配管位置など様々な判断基準から決めなくてはいけないという点がさらに難しくしていると思います。
温度の観点から、広いリビング1台のエアコンでまかなうことは難易度が高いです。適切な位置に設置しないと、温度分布が大きい不快な空間になってしまう可能性もあります。
今回は下に示すような形のリビングキッチンダイニングを例にエアコンの位置を考えてみます。
Simulation条件
条件は下記の通りです。
・季節:冬(外気温度0℃)
・エアコン吹き出し温度:23℃
・時間:日没後(太陽による日射熱は無し)
・部屋の広さ:約20畳(36平米)
上記の形状で2パターンのエアコンの配置をそれぞれSimulationしてみました。
条件の1つめは部屋の右端にエアコンを設置した場合です。キッチンとダイニングの一部に温度が低いエリアが発生しています。
(下記の表示の色は温度を示しており、青(20℃)<緑<黄色<赤(23℃)の順に温度が高くなっています。)
条件の2つめはエアコンを部屋の中央に設置した場合です。温度が低いエリアはリビングエリアの一部のみになっています。一方でリビングに温度の高いエリアができいます。
2つの条件で異なる温度分布になりました。
どちらが良いかは生活スタイルによって変わってくると思いますが、キッチンに着目するなら条件2の方が温度が低くなっていないため、良い配置であるといえます。
(もちろん、キッチンは別の暖房器具を用意するので寒くても問題ないという場合はこの限りではありません。)
■エアコンの年間電気代を比較する
上記2つのエアコン配置の条件で、条件1ではキッチンの温度が低くなり、条件2ではキッチンの温度が周囲と変わらないという結果が得られました。
では今度は条件1のエアコン配置のまま条件2のキッチンの温度と同じにするためには、設定温度を何℃上げればよいのでしょうか?
検証の結果、設定温度を2℃上げることで条件2のキッチンと同じ温度になることが分かりました。下図は設定温度を2℃上げた場合の、温度分布Simulationです。
電気代の比較
一般的に設定温度を1℃変えると10%程度、電気代が変化するとされています。
今回のケースでは部屋の広さは20畳ですので、一般的な20畳タイプエアコンの年間電気代を60000円と仮定すると
年間で12000円程度の差になります。(夏も同様に設定温度を変えた場合)
設定温度を変えても変わらない温度分布
先ほどのSimulationの結果を見て気付いた方も多いと思いますが、
設定温度を上げた分、他の場所の温度も上がっています。
つまりキッチンと他の場所の温度分布は解消されていません。
温度分布の少ない空間にするためには、エアコンを設置する段階で考える必要があるわけです。
まとめ
今回の検証では、様々な仮定条件を置いた上ですが、エアコンの位置による年間電気代の比較を行ってみました。省エネのためには断熱材や気密性も重要ですが、エアコンの位置も重要なのではないでしょうか?
また何よりエアコンの位置によって生じた温度分布は設定温度を変更しても解決できない問題です。もちろん高価なエアコンやサーキュレーターなどを用いて提言することは可能だと思います。新築やリフォームの間取りを検討中で、まだエアコンの配置を変えられる段階であるならば、部屋全体に風が届きやすい位置を検討することをお勧めします。
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