コンクリート打ちっぱなし壁のデメリット

コンクリート打ちっぱなしの壁はモダンな印象を与えてくれますが、住みにくい要素も多く含んでいます。

コンクリート打ちっぱなし壁のデメリットとして、

・熱伝導率が高い(熱を伝えやすい)

・汚れやシミ(デメリットではなく、コンクリートの味という見方もできます)

・吸湿性が低いのでカビが生えやすい

・子持ち世帯では、けがが心配。(同じ速度で通常の壁とコンクリートの壁にぶつかったのでは衝撃が変わってきます)

などが挙げられるのではないでしょうか。


今回はデメリットの一つである「熱伝導率が高く、熱容量が大きい」という点に着目し、深堀してみたいと思います。

コンクリート壁は外の熱が伝わりやすい

熱伝導率とは熱の伝わりやすさを示し、素材ごと概ね決まってくる値です。

高い値ほど熱が伝わりやすくなります。


コンクリートの熱伝導率は1.6W/mKです。

それに対して壁と壁の間に用いられている断熱材ロックウールは0.03~0.05W/mK程度です。

アルミなど熱を通しやすい金属は230W/mK程度になります。


壁としての熱の伝わりやすさは、熱伝導率と壁の厚みで決まってきます。ちなみに壁の厚みは厚いほど熱が通りにくくなります。

一般的な内張り断熱型の壁を簡略化して図にすると下図の左側のようになります。

外壁があり、断熱材が充填され、内壁があります。

一方、コンクリート打ちっぱなし壁は、コンクリートの壁があるのみです。

先ほど、熱の伝わりさすさを示す値が熱伝導率という話をしましたが、熱の伝わりにくさを示す値もあり、それを熱抵抗といいます。値が大きいほど熱が伝わりにくく断熱効果が高いことを示しています。


この熱抵抗を内張り断熱壁とコンクリート壁で計算してみます。

計算するに当たり下記の仮定を置きます。


■内張り断熱壁

外装材、内装材の厚み:25mm 熱伝導率:0.2W/mK

断熱材の厚み:50mm 熱伝導率:0.03W/mK


■コンクリート打ちっぱなしの壁

コンクリートの厚み:200㎜ 熱伝導率:1.6W/mK


細かい計算条件の紹介はここでは行いませんが、上記の条件の場合

■内張り断熱壁の熱抵抗: 2.8 K/W

■コンクリート壁の熱抵抗: 0.5 K/W

となりコンクリート壁の方が5倍以上も熱を通しやすいことになりました。


つまり、コンクリート壁は一般的な壁よりも外の熱が伝わりやすいといえるでしょう。

また、冬は冷気が伝わりやすいということになります。

そのため、コンクリート壁を検討されている場合は、光熱費が高いことや、暖房冷房器具を重装備にする必要があるということを把握しておいた方が良いと思われます。


一方で、コンクリート壁は機能面で下記のようなメリットもあります。

・防音性が高い

・耐火性が高い

これらは通常の壁ではなかなか手に入らないものです。


メリットデメリットを踏まえた上で、是非検討してみてください。



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